ゲームレビュー「Superflight 」 美しい浮島を滑空する洗練されたゲーム

 今年のゴールデンウイークは外に出ずゲーム漬けの日々を過ごした人も多いではないだろうか。もし大作ゲームに満足したなら、小さなゲームをデザート代わりに遊んでみるのもいいかもしれない。そんなときにSuperFlightはうってつけだ。

 SuperFlightは空中に浮かぶ島を滑空しながらスコアを稼ぐアクションゲームで、デベロッパーはドイツのGrizzly Games。

このゲームの特徴はゲーム性とグラフィックがともにシンプルでありながら、奥深い魅力を持つ点だ。  操作は向いている角度を上下左右に変えることだけ。たったこれだけの操作だ。しかし思った通りに飛ぶのはなかなか簡単ではない。プレーヤーは滑空しているため、曲がろうにもトンビのように緩やかな旋回しかできないし、上に角度がつきすぎると失速して墜落してしまう。ゲームを始めたばかりのころは遅い旋回を使いこなせるようになるまで少しばかり練習が必要だろう。なぜこんなにも操作が難しいのか。それはリスクとリターンを追及するSuperFlightのゲームシステムに関係がある。

 SuperFlightのスコアシステムについて説明しよう。基本となるスコアは浮島に近づいて飛び続けた時間で評価される。時間が長いほどさらにボーナススコアが加算されるようになっている。そしてSuperFlightのキモとなるのが、狭い場所をくぐることで大きなスコアを稼ぐことができるシステムだ。通り抜けるオブジェクトの幅が狭ければ狭いほどボーナスは高くなる。なお、一度岩肌から離れてしまうとボーナスがリセットされるし、岩肌に激突するとゲームオーバーだ。

 浮島は入り組んだ構造をしているので、内部を通り抜けることは安全ではない。しかし入り組んだ場所を通り抜けなければ高いスコアを望めない。安全とリスク秤にかけながらギリギリを飛ぶスリルがSuperFlightの魅力だ。

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 ユーザーが挑む浮島はランダムに自動生成されている。そのためプレーヤーはゲームを開始するたびに新しい島で遊ぶことになる。生成される島は一つとして同じ形はなく、自動生成ゆえに道が途中で行き止まりになっていることもある。プレーヤーは未知の島を観察し飛行経路を組み立ていかなければならない。生成アルゴリズムはよくできていて、形にいくつかのパターンはありつつも、細部が少し異なるだけで飛び方はまったく違うものになるため、新しい島に着くたびに新鮮な感覚を味わえる。

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 本作はサウンドも良くデザインされている。BGMはなく、聞こえてくるのはうるさいほどの風切り音とかすかに聞こえるホワイトノイズだけだ。少しさみしいと感じるかもしれないが、余計な音が聞こえないからこそオブジェクトに飛び込んでいく瞬間の臨場感を高めてくれる。また、スコアが加算されるときと確定するときの音が、コインが積み重なる音とレジから現金を引き出す音になっていて気持ち良い。危険を犯してスコアを高めたプレーヤーに心地よい音で報いてくれる。

 リプレイ性も高い。リスクを求め、失敗すれば一瞬でゲームオーバーになってしまう本作のゲーム性だけに試行錯誤もしやすくなっている。ゲームオーバーになっても瞬時に初めからやり直せるし、島の形が気に入らなければ島を通過することで新たな島にたどり着くことができる。一つの島をじっくり攻略して最高得点を狙うもよし、スコアを稼ぎやすいロケーションを探しに放浪の旅に出るのも良い。やめどきがみつからない良作だ。現在Steamで¥310で手に入る。土日の暇つぶしにぜひおすすめだ。

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